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中小製造業の呪い☠

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ビジネスモデルの呪い

突然ですが、私は、中小製造業には呪いがかけられていると日々感じています。

私達がご支援していく会社さんもやはり色々なフェーズがあり、何もかもスムーズに組織が良い方向に変わっていくことは殆どありません。何かに躓く時に、この呪いの存在をいつも思い出します。

セミナー等でもよくお話するのですが、製造業は、お客さんの指示通りに正確にモノを作る仕事です。そして、その仕事を完遂するために、社内では上司の指示・命令に忠実に従うことが要求されてきました。

また、パワフルな創業者がいらっしゃった会社では、「俺の言う事を聞いていればいい」「勝手なことをするな」と直接口にされてきた経験を持つ方もいらっしゃるかも知れません。

このように、中小製造業にはビジネスモデルや歴史的風土の中に、根本的に社員の主体性の芽を摘むような仕掛けがあるんです。

ミスできない呪い

製造業と切っても切れない「不良」からの「再作」

不良を出してしまい、材料を取り直し、可及的速やかに作り直さなければならないシチュエーションは、製造現場にいたら誰しも味わったことがあると思います。

「次はミスするなよ」と発破をかけられ、強いプレッシャーの中で働くことも多いと思います。

もちろん仕事をする上では、適度な緊張感は必要ですし、幾らミスしてもいいとは言いませんが、そんな環境の中では、新しい挑戦や自由な発想というのが生まれてきません。

それに上記のようなビジネスモデル・風土が組み合わされれば、もう打つ手なしです。

責任感の呪い

中小製造業の方は、(少し贔屓もあるかも知れませんが)真面目で、素直な方が多く、その事自体はとても素敵だなぁといつも思っているのですが、真面目故に、自部門で何でも完結させよう・させなければならないという意識が強いように感じます。(悪く表現すると縄張り意識とも言えるかも知れません)

これは、「後工程はお客様」という観点に立てば、しっかりと自分たちの仕事をするといういい面もあるのですが、本来は会社全体でお客様のために良い製品を作ることがゴールなのにも関わらず、特にネガティブな場面や、他部署の助けを乞う必要があるような場面ではどうにも他部署に上手く頼れないような様子を良く見受けます。

これは、悲しいことに、真面目な人柄・責任感の強さ故に引き起こされています。

少し脱線しますが、私はこういう部分をなんとかしたいという気持ちがあり、中小製造業向けの人材育成を行っています。

せっかく素直さや真面目さ・責任感という良さがあるのに、仕組みや空気、風土、習慣、クセ、思い込み等によって、本来持っている良さが発揮されないどころか、悪い方向に向かってしまうことが悲しいなと思っています。

その人々の良さというものが、良い形で、良い方向に活かされ、成果に結びつくような人づくりや組織づくりをしていきたいと思っています。

話を戻しますと、

パッと思いつくだけで上記のような呪いが掛けられています。

これらの呪いは、当社が関与して、部門間の関係が良くなり、「連携がとれてきたな」「会社全体のゴールに向かってチーム意識が芽生えてきたな」と思って満足気にその会社さんを見ているときにも不意に現れます。

お客さんの全体会議に参加してプロジェクトを進めるようなケースもあるのですが、会議の中で色々議論をしていると、「謎のタブー」を踏むことが時々あります。

とある会社さんのお話

具体的なお話をします。

生産性向上のための会議をしている際に、MCオペレータが”加工済み製品のバリ取りをしているが、バリ取り予定のものが滞留してしまう”という問題がありました。

私は、正社員でドンドン機械を動かすべきオペレータが、バリ取りという相対的に付加価値の低い作業に時間を費やすのはもったいないと私は思い、「バリ取りをパートさんとかを雇ってやってもらったら良いんじゃないですか?」と何気なしに言ったのですが、

その瞬間に場が凍りました。

この会社さんでは、「与えられているヒト・モノ・カネでなんとかやってのける」という風土があり、それ自体は素晴らしいことなのですが、裏返しで「現場は上司に何かを要求してはいけない」という呪いに掛かっていました。「人が足りない」と口にすることはこの会社ではタブーだったのです。

(あとで個人的にリーダーに「あれは何だったんですか?」と聞きました)

もちろん、無策で闇雲に人が足りない足りないと騒がれても困りますが、「こういう計画で、こんなふうに効果が見込めそうなのですが、どうでしょうか?」と聞くことはむしろ喜ばしいことですよね。この会社の社長に「こういうのは御社では言ったらダメなんですか?」と伺ったところ全然提案してくれて問題ないとおっしゃっていました。つまり、現場の思い込みです。

これは、例えば、そもそも提案の仕方がわからないとか、先代の時代に提案したら「工夫してやれ!」とドヤされたとか様々な背景があるのだと思うのですが、このように一見、意見交換も活発でコミュニケーションが良好そうに見える組織でも、突然呪いが発動するような事が見受けられたりします。

少しずつ社内の空気感が良くなってきても、ほんとうの主体性が発揮されるまでには地道な取り組みが必要になります。(当社ではこれを「薄皮問題」と呼んでいます)

当社では、会社としての関わり方、理念で横グシを刺すような浸透の施策、会社の制度設計、上司の関わり方、社内のコミュニケーションの活性化、コミュニケーションのスキル、評価への紐づけなど多面的にこの呪いと戦っていきます。

なんか、宣伝臭くなってしまいました…。

結びの言葉が浮かばないのですが、長くなってしまったのでまた書きたいと思います!

ものづくり高収益化コンサルタント 石山 賢

中小製造業にフォーカスした儲かる製造業のつくり方をお教えします。

製造業の高収益化にこだわり、カネ・モノ・ヒトを軸にした、きちんと儲かる仕組みづくりを得意としている。

高校卒業後、自動車のシート溶接の仕事に就くも1年後に景気悪化、派遣切りにあい失業。何気なく選んだ仕事だったが、ものを作り上げていく製造業に面白みを感じていたので、その後も製造業に転職。今度は営業職として勤務し、トップセールスに成長。数回の転職を経て経営管理職まで経験。組織づくり、営業責任者、原価改善、海外展開、外部企業との連携、新製品開発、経営計画作成など、現場から経営まで製造業の一連の流れを経験している。

これまで、1000人以上の製造業の社長さんとの面談の機会を得てきたが、漠然とした不安や、経営の難しさを漏らす社長さんが多いと感じていた。中でも、リーマンショックの影響を受け、やむを得ず廃業する社長さんの廃業への悔しさを直接伺い、こういった想いをする方々を減らせたら…と思ったことが今のビジネスの原点である。

その後、自己研鑽のために経営のプロと認められる国家資格の、中小企業診断士の資格を取得。経営の知識を得ることで、これまでの社長さんのお話や自分の経験と経営知識が結びつき、製造業ならではの経営の難しさと、製造業できちんと利益を出す方法の着想を得た。自分を育ててくれた製造業への恩返しがしたいと思いたち、貯金・顧客ゼロで、勢いで独立。

なんとか会社をよくしたいという思いと、それに答えてくれる社長さんや、社員の方々の協力で、支援先では2年間で売上高180%達成や1年間で原価低減50%を達成など、めざましい成果を実現してきた。

製造業への恩返し、そして、それぞれの会社の持っている、高い技術力や磨いてきた独自性、熱い想いを、きちんとビジネスの根幹である「収益」に変えていくことが自分の使命だと考え、日々奔走している。

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